「読み解く」の「読む」を前回やりました。今回は「解く」です。解釈するという意味ですが、解釈の仕方にセオリーがあるのでしょうか。

 もう一度、振り返ると下の写真です。スクリーンショット 2021-03-16 17.40.19
 
 この写真を見てどんなものが写っているのかを見ました。
 セオリーとかハウツーはないようですが、「解く」というのですから「なぜ」が必要です。それは見た人が考え、答える(解く、解釈する、仮のでも構わない)のです。従って、人それぞれで主観的要素が出てきます。

 ここでは、具体的な解釈はなしにしますが、疑問だけを上げて見たいと思います。この疑問を持つことが大事だからです。

① まず、パッと出るのは、カラー時代なのになぜモノクロなのか? 
② <フレーミングで>左に草があるが、それを入れる必要があるのか、ないのか?
③ 同様に、右の山を稜線があがっていくところで切ったが、意味はあるのか?
④ 同様に、山と空を入れる必要はあるのか? 写真はマイナスなので、ない方が雪原も広くなり農家の方の散布する広さを感じることができるのではないか? また、農作業をもっと主体にするならば、噴煙もなしにして建物と農作業、雪面という構成でもいいのでは?
⑤ ③に関わって。そうすると暗い部分が多くなり、重い写真になるようなので、どうそれを補うのか? しかも、細かい模様が目立つようにもなるので、どうすればいいのか。
⑥ 少し傾いた三角形だが、ドカンとした大きな建築物に、動く煙と人の対比として捉えれば、傾いていてもいいのではないだろうか?
⑦ いよいよ、主題は何か?  
⑧ 主題はこれと考えたら。それなら、それが適切に表れるようなフレーミングはどのようなものか?
 モノクロでいいのか? カラーとしたらどうすれば良かったのか?
⑨ 撮影者の立場では、どうやると散布の場所が分かるのか?
 やはり望遠で、何mm を使っているのか? カメラ設定は?
 
などなど。 これ以外にもあるかと思いますが、結局は自問自答と言うのが解釈となります。

 第一印象よりも写っているものを、じっくり隅々まで見ること。
 そして、ここが大事ですが、自問自答なので、「自分が撮るならば、あるいは現像するならどうするか」という視点を持つことで、いわば「自分の写真」として見て解釈することが大事となります。

 結局、人の写真も自分のものとして見ていくときに、自分の写真が変わるであろう種子を育てることだと思うのです。

 「読み解く」とは言っても写真評論家になる(なれそうにもありませんが)のではなく、自分の写真向上や幅を広げるためにやるべきです。

 もし、いい被写体・モチーフの写真データがあれば、再現像してみてもいいかもしれません。私ならこうトリミングしこう現像してみるというのもありだと思うのです。

<内輪話 : 暗い・重いのは農家の人の「思い」「仕事・苦労」が積み重なっていくこと。しかし、休憩には山や空を見るだろうし、山の雲、空の雲で地元でしか分からない天気の読みもするかもしれない。プロならば2枚分の写真の主役があると言うかもしれません。あえて余分な噴煙や空を入れたのも、大地と常にむか合う農家の人々を背景とともに入れたかったのです。>