PHOTO MEMO by FES

写真についての個人的メモ

マイケル・フリーマン

写真についての個人的なメモです!

MIND その2

 前に紹介した『Photographer's Mind 』から。ファインダーからの見方が変わったものがあります。
   ・第2章スタイルの「対立」という項目からです。  

 面への分離
 ファインダーを覗くとフレーミングや構図が気になりますが、これらはあくまでも平面的な見方でした。当然、風景だと空気によって遠景に従って青みがかってきますが、見方として、見た光景の解釈として前景・中景・遠景などと、複数に分離してみるということです。表現としては、奥行きを処理する方法であるとともに、ある光景を特定の順番で見るように鑑賞者にうながすためでもあると書かれてあります。最も顕著なのが前景がシルエットで明るい遠景の2面であり、もっとも古典的な手法とあります。

 私の作品で、遠景が夕空ですが、このようなのが対立での「面への分離」というものです。このような逆光だと撮影中に仕上がりが想像できます。

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 これらを応用すれば3面、4面‥といった捉え方もできるというのです。
 Lightroomでは「かすみ除去」という機能が付いていますが、遠景もきっかり見えるというのもあるでしょうが、面として捉えれば、全てに「かすみ除去」をかけるよりも、1部は残すという方法も考えられます。


 2つ目は、空間的な広がりで、風景の中の人や動物、ボート・船といった対比(対立)です。これはこの本の表紙にあるようなもので、人物が入ることによってスケール感がでます。また、人を中心部付近に置くことによって、人を主題にした画像にもなるようなことが書かれてありました。

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 これは、あの雪原を歩くキツネの場合です。眼前を横切っていくキツネを撮るのが初めてで、70-200mmで撮ったのですが、何かキツネが中途半端な大きさになってしまったと感じています。もっと大きくするか、背景を広々とフレーミングするかで、見せ方もはっきりできたのではないか、なぜ、いろいろな焦点距離の画像を撮っておかなかったのかと反省する点です。これについては、すぐに改善しています。

 「500px」を見ると、広大な風景や険しい山中に登山者(?)を入れるものがあり、これについてはこの本の著者も、これはだいぶ使い古されてはいるが、極めて稀なことでついシャッターを切りたくなる光景で、まだクリシェというほどではないと言っています。

MIND

 写真家や書籍の紹介です。
 「クリシェ」の言葉もこの書籍の物です。数年前に購入したのですが、当初は全く理解できないようなことばかりで忘れていたのですが、写真撮影や現像のある程度の「How to」も分かり、一時休憩・再開に当たって読み直しています。

Photographer's Mind  ーどう撮り、見せるか。記憶に残る写真の作り方ー
    マイケル・フリーマン著
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  【目次】
CHAPTER 1:意 図
主題の重層化
見た目の麗しさ
さまざまな美
死せる怪物
クリシェとアイロニー
ありふれた光景を作品にする
リビール

CHAPTER 2:スタイル
表現の幅
古典的なバランス
調 和
視線の誘導
対 立
ローグラフィックスタイル
ミニマリズム
ハイグラフィックスタイル
意図した無秩序

CHAPTER 3:プロセス
画像テンプレート
インタラクティブな構図決め
タイミングと動き
ルック
ハイパーリアル
強化(エンリッチ)
抑制(ドレイン)
輝き(ルミナンス)


 「フォトグラファーは目前の被写体をを可能性のある候補の中から選択しますが、常に、ある程度自分の好みに合った画像を探すという選択を行っています。その日に遭遇する新しい景色に対して新鮮かつオープンな気持ちでいようと努力しても、頭の中には視覚的嗜好があります。中略 このことから、フォトグラファーは画像をハンティングしているものだと分かります。中略 ハンティングは、視覚意識の中に存在するものを追い求めるという、まさにトップダウンの作用です。」「とても興味深い理論ですが、撮影で実際に役立つのでしょうか。私はできると思っています。中略 フォトグラファーは好みの写真の傾向を自覚することによって、どのような状況でも素晴らしい画像を見つけられるまでにイマジネーションを豊かにできるということです。」とある第3章のプロセス。

 そして、この好みの傾向を幾つか紹介していて、写真に必要な要素が網羅される「画像のテンプレート」を紹介しています。

 「無意識にトップダウンで選択」ということでは、そのトップとなる頭脳の嗜好や思考、思いや願い、経験などが反映されるということです。それらを整理しておくこと、分類しておくことで、つまり画像のテンプレートを引き出すことで、その状況に応じた画像をえることができるとしているのです。

 このテンプレートを見ると、最新写真集『カムイ』の中西氏は「光が主役」です。私の好みの霧の風景や、「美瑛ブルー」と称した写真では「色が主役」、視線と丘の稜線があったキツネの写真では「タイミングが主役」、雪面をモノクロで撮った写真は「内容が主役」と理解できます。こうしたことで、自分は何を撮ってどう現像しようとしたのか、というのが理解できます。
 今後、光が主役であれば、コントラストや露出補正をマイナスの方がいいとか、色が主役であれば、ホワイトバランスをよく合わせたりピクチャースタイルを風景にしておくなどもできるかもしれません。さらに、「バランスが主役」というのもあり、構図は定位置か少しズラすのかなどという、テクニックにも幅ができるかもしれません。そして、それらを組み合わせることも意識し、瞬時に判断して撮影することができるようになるかもしれません。

 過去の撮影したものを再現像したのも、もしかして、これが頭の隅に残っていたかもしれません。自分が撮った数多くの写真も、「好きな写真」「撮れる写真」や、「クリシェの写真」「ある程度特徴のあるクリシェの写真」などの分類もできます。そうして、「何を撮ろう」ではなく『何が撮れるか』で通うのですが、気がかりな被写体を撮る際にうまく撮れるように考えていきたいと思うのです。 
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