黄金色の霧光景もいいものだが、大地を低く漂う霧にはそれなりの言葉にならない物語が隠されているのではないかと思う。不動の大地とはいえ、木々や丘の畑は季節によって変わっていくが、そこを漂う霧が絡み合う光景に惹かれるのです。

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 惹かれる理由はと聞かれると、明確には言えないものですが、目に見えて変化して、大地の様相を変えてくれるものであること。発生の量や漂い方は気ままです。観点を変えてみると、このコロナ禍に合わせて感じたのは、いつか晴れるという希望的な象徴であるかもしれない。また、物質的な世界や人の存在に密かに流れる趣向や思想。はたまた、思惑、陰謀という得体の知れないものが霧に象徴されているかもしれないと思うこともある。まあ、そもそもは考え過ぎで、陰謀というと余計な邪念かもしれないが、なぜ惹かれるのかを理由づけるものがあれば、霧の実態と自己存在が重なり合う部分が理解できるかもしれないと思うのでです。そこに、テーマ、ないしはコンセプトがより明確になってくるのだろうと思うのです。

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 光景の状況説明的なものを捉えるとこちらの方だろうか。朝焼けの山と空を入れたのだが、霧の描写を主題とするならば余計なものが入っているという感じがしているが、フレーミングが悩ましいところです。

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 このような珍しいことでも起これば前景の様子によってはいいのかもしれないが、ここ5、6年出会っていません。
 霧光景を撮影しながらも、このような沈黙の独白をしているのです。