以前に下図をのせました。まだ、当時は曖昧だったように思いますが、なかなかいい観点だったと振り返っています。当時はまだテーマは眼中にはなかった感じです。かなり長くなり全数話となります。

 最高の写真を「essence」として目指すための、撮影のあり方や写真の考え方などが、自分流にまとめられたらと思っていて、概念化を進めています。

 要点としては、意図的に広い撮影フィールドを「view」して、「essence」の下準備ができる「scene」を選択(抽出)して撮影することを繰り返して、「essence」の写真を目指す。という訳のわからないことになります。

 「写真は感性」とは言いますが、その「感性」が何かはとても感覚的であり、多くの経験や学習のなから身に付けてきたものだと主ますが、それを説明したものも見当たりません。しかし、「感性を磨く」ということでは、学習などが不可欠とも考えます。
 撮影や現像等の経験や写真の考え方などの学習と実践という訓練によって、感覚的にも反応できるようになると考えます。プロのように毎日数千枚の写真を撮るということができない中で、少しでも貴重な撮影や現像時間を生かすためにも、思考による感性の覚醒が必要かと思うのです。

 

 今回もメモになります。以前にあげた図です。
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 「view」と「scene」

 どちらも視界、景色、光景、眺望というような意味ですが、「view」は肉眼で見えるもの全てを表していると思います。写真的にもう少し突っ込むと、写真に撮れるような光景を肉眼で探している状態とも言えそうです。
 それから「view」には、意見、見方、考え方という意味もあることから、見ているものの価値や意味、解釈がすでに撮影者個々の違いがあることになります。それぞれに見ている光景の内容が違うということも考えられます。それに「あるがままにみている」のではなく、「学習、経験によって解釈して見る」のが私たちの視覚の傾向でもあるからです。
 
 例えば、風景写真だとある程度遠方や空の状況に観点を置いて見るでしょう。太陽の位置や方角、雲の様子も見ます。動物写真であれば視界で確認出来る程度の距離の中の形や動きで動物を探すということで見ています。花となると群生や身近な範囲です。これは経験の一部ですが、撮る対象によって異なる距離感をもってものを見ていると言うことができるかと思います。農家の人や農業経験のある人は、作物をみれば生育状況を見る(認識、理解)でしょう。何に関心を持っているのか、職業や写真を含めての経験が「view」の見方を決めているというのが事実らしいのです。

 自然・田園風景とは言え、そこから受ける価値、意味、解釈が異なると言うことです。

 「scene」というのは、「view」の中で選択された「scene」とは、写真におさめようとする撮影者の意思が働いている光景と言うことになります。撮影者によって選ばれた光景、写真にしようとする意思、意図がある光景となります。凝視やファインダー越しにターゲットを捉えるような「ハンター」にも似ています。カメラで捉えた画像を「ショット」と言いますが、銃で発砲すること、射撃という意味もありますから…。

 ここでsceneはviewから「選択」された光景と書きましたが、単なる選ぶという言葉では適切ではないようにも思っています。違う言葉では、「特定のものを選ぶ」という単純なことではなさそうだからです。先にも書きましたが、被写体の価値や意味、解釈を行って選ばれるのですから、「抽出」に近いような感じもします。「抽出」には、「液体または個体の中から特定の物質を溶媒に溶かして取り出すこと。」ともありますが、視覚的な光景の中に、頭脳というフィルターを通して、写真的な特別な映像を見ているのではないかということです。
<次回に続く>