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 撮りためた狐の写真

 キタキツネでは「ナショナルジオグラフィック・コンテスト」のネイチャー部門で、日本初の第1位をとられた井上浩輝プロがいますが、狐だけだと「狐のポートレート」と称しているようです。
 賞をとられた写真は、冬の夕日に赤く染められた東の空と雪原を走る2頭の狐の小さな姿ですが、自然の美しさと共に生き物の躍動感が一体となった一瞬が捉えられています。また、BRUTUS9月号では、賞をとられた写真のおそらく前の、2頭が戯れる一瞬を捉えた写真が表紙を飾っています。
 これら2枚の写真では、いずれも狐は小さく写っているのですが、自然に生きる生き物を自然の中で捉えたものとして、動物写真というよりも自然風景写真というような感じを受けて、私のお気に入りの作品となっています。

 狐を探そうとすればなかなか出会えるものではありません。狐の習性も知らず、見つける努力もしていないからです。風景を撮るための移動の途中に稀に出会えるしかないのが現状です。それも動かない自然を撮る風景写真ばかりですので、なかなかピントも合わず、手ぶれ補正も効かない状況が多くて(撮影技術の未熟さ)、失敗写真ばかりです。出会えても警戒して近寄ることもできませんが、警戒心の弱い小狐や親離れ直後のものであれば、怖いもの知らずや、親恋しさで、逃げない狐もいるように思います。
 それこそ稀の稀に、車に近づいてくることもありますが、以前に餌などをもらった経験があるのかと思ってしまいます。また、事故にでもあったのか、足を引きづりながら歩く狐にも出会いました。せっかく出没コースを見つけても、数日後に車事故にもあったような死体にも出会いました。悲しいものです。

 見つけたら、車のドアを静かに開けて閉めもせずに、それこそゆっくりと動いていってカメラを構えることになります。絞り優先か、シャッター速度優先かも考慮して撮影することになります。

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 雪原に生きる  
 東川町や東神楽町の川霧を狙っていた頃に撮影したもの。もう4年ほど前です。冬は積雪のために足跡がわかり、狐も見つけやすくなります。ともあれ、この頃は雪の表現も悪いですね。