05

 前回は、被写界深度がミリ単位になってしまい、マクロレンズのようなはなしになりましたが、今回はパンフォーカスの話です。

 「近焦点から、遠焦点が無限遠になるまでを被写界深度にする」というのがパンフォーカスですが、レンズの焦点距離と絞りの関係で変化します。その例が下記の表です。一応、F値が大きい方で撮影することがおおいので、F11とF16の場合です(これは計算式からの数値です)。この表の上に、「過焦点距離」というのがありますが、ここの距離にピントをあわせると、パンフォーカスになりますという数値です。
 
34

 上の表は、「F値が11」の場合で、ピントを置く距離(過焦点距離)と近焦点を一覧にしましたので、広角レンズ16mmの場合だと、70cmのところにピントおけば、手前30cmからパンフォーカスできるということです。焦点距離が大きくなると、過焦点距離も遠くなってきます。
 ・ これでパンフォーカスができるとはいえ、注意するのはフレーミングです。フレーミングされたファインダー内画像の下の部分に、近焦点より手前が入っていれば、少々ボケるということになります。従って、近焦点よりも遠くの地点から、奥の方を撮らなければなりません。
 ローアングルで撮影すると、近焦点より手前のボケたものも入ることがありますので、表現上で考慮する点だと思います。

 F値を小さい数値にすると、過焦点距離と近焦点が遠くなります。また、F値を大きくすると、近くなるという関係です。

 自然風景写真では、パンフォーカスで、しかも、人間の立ち位置での目線から、というのは、前田真三氏の基本姿勢だったと聞きます。拓真館での写真でもF値が大きい数値のものが多かったです。彼の写真集から、使用したレンズの焦点距離を割り出した人がいて、広角はあまり使用せずに、中望遠が多かったというような結果だったということです。

 某プロ写真家が「パンフォーカスにするためにF16で撮影」というのがありましたので,その場合のも表にしてみました。F値の小さい絞りでもパンフォーカスにできますが,あれこれと絞りを悩むことなく,光景や構図などに集中した方がいいですということでしょうか。

 朝夕の薄暗い中での撮影では,当然にシャッタースピードが遅くなることから,三脚必須,レリーズ必須でしょう。それと,レンズに手振れ防止機構がある場合は,誤作動でブレることもあるということで,それをオフにするのも重要かと思います。

02