
前回の画像(美瑛のフレーミング・構図)について。これらは、「丘」「畑」を撮影したものを私なりにメモしたものです。最もシンプルな①を基本にして、樹木や自然現象、畑での農作業光景等を入れたもの。よりクローズアップして、畑そのものの色や作物の違いを撮したもの。作物を主役にしたもの。さらに丘の重なりの⑨を基本としたものが美瑛の丘の撮影となるかと考えます。丘の形状や樹木は変わらないものとすれば、それに変化を加える作物やその成長、そして、朝夕の光や自然現象などに着目するのがベストになると考えます。

「正しい場所、正しい時間にいて撮影することができたら、7割ぐらいの仕事が終わるかと思います。」と、Pshadelicの山村氏は言っていますが、それに珍しい「自然現象」にであえば、8,9割はいい写真が撮れるのではないかと思います。後は、カメラ設定とアングルや位置を変えての撮影のみでしょうか。

まとめですが、風景では、あるものそのままの切り取りですので、主役を何にするかは、遠方のものは、画角を小さくして主役の画像上の面積を多くしたり、逆に広角系で主役に近づいて面積を多くするなどがあります。その中で、前述したような構図的なものも考慮してみるということです。また、「美瑛の丘の風景の成立メカニズムに関する考察」(2006年、久保田 幸依・中井 祐)では、「近景、中・遠景・背景」という前田真三氏の基本構図を提示していますので、こんなのもあるのかという理解もできるかもしれません。

写真は構図以外にもたくさんの表現手法があります。
背景や前景をぼかす被写界深度の表現もいいかもしれません。とくに奥行きがない場合は有効かと思います。レンズ誇張を使った広角パースペクティブの表現、望遠レンズの圧縮効果を使った表現。美瑛ではあまり必要ないような、高速シャッターで被写体を止める表現(滝、水の流れ)。スローシャッターで雲や星を流す表現も活用できそうです。ローキー調、ハイキー調などの明るさの(明暗)の表現。絞りやレンズの味による、やわらかい描写の表現、硬い描写の表現。さらに、ハイアングル、ローアングルの表現…なども加えていくといいのではないかと考えます。