前回、台湾の歴史を概略してみました。
「台湾」というと、東日本大震災でのことが印象的です。義援金の金額も253億円という話はとどいていますが、台湾の仏教系慈善団体の日本支部の方々が、被災した各地におもむき総量数十トンもの炊き出しを続けたことや、被災住民に直接現金を渡していたことです。1世帯当たり5~7万円、一人暮らしでにも2万円、配布場所に来られない人には直接訪問して現金を手渡ししたそうです。さらには被災者1000人を無料で台湾に招いたとか、欧米が放射能で渡航を制限していた際に最初に訪れたのが台湾人だそうです。
これを知ると、「犬去りて、豚来る」の前回の「日本人の猛烈な弾圧」というのが本当に事実なのかと疑ってしまいますが、抗日・反日運動が盛んであり、死亡者も多くいたのは事実です。しかし、古い中国風の城壁に囲まれた小さな町が点在するような台湾に、鉄道や道路網をつくり、城壁を取り壊して、産業をおこしていったのも事実です。強引ながらも豊かな島にしなければならなかったのも事実です。
親日家が多いとも聞きます。日本人としての軍人や役人、民間人が何かを残したのだと思います。欧米の軍人や役人、民間人が残し得なかったものがあると思うのです。
台湾の中での政治的立場を考えてみると、同じ中華人としては、今の隣国の政治体制ではない中華人としてのナショナリズム(民族を中心とした国家観=中華民国国民党的考えの1つ)、「台湾人でもあり中華人でもある」があります。また、過酷であった中華民国国民党支配時代から、また、隣国も『改革開放』で資本主義的な路線をとっていた頃は、「台湾人は台湾人」という考えの「台湾アイデンティティー」が増えてきた経緯があります。さらには、上記にも書いたように隣国の文化大革命や天安門事件、香港の経緯からも、台湾アイデンティティーを越えて、独立国を希求する「台湾ナショナリズム」という考えがあります。台湾での最大派は「台湾アイデンティティー」を持った人たちです。従って、台湾での政党は『国民党』と『民進党』があるのですが、党内のこうした派閥をみると、下記のようになるようです。いずれも、独立は考えていなく、現状維持でいけばいいというのが両党の多くの支持者=台湾アイデンティティーをもつ意見となっているようで、武力による侵攻も戦争も望んではいないということです。
いわゆる「改革開放」の鄧・江・胡までの39数年間で、民主主義の国として、アジアではもっとも高位(英国誌エコノミストで2021年での民主主義指数報告)。「世界幸福度報告書2018」でもアジアではトップとなる豊かな国となっています。「国」という言い方をしているのですが、1971年に国連が、中華民国から中華人民共和国を中国の代表としたために、正式な国としては認められなくなった経緯があります。これも、実はそれまで中華民国を認めていたのが、ソ連との冷戦下にアメリカが中心になって、中華人民共和国をソ連との対抗勢力に加えようとして、急接近したことから、中華民国を切り離したという経緯があります(これも大国のエゴ)。しかしながら、非公式ではあっても経済的な交流は保たれるという関係にあって、日本よりも民主的な国という位置づけが海外からの評価となっています。そうしたこともあり、台湾アイデンティティーというものが、広く染み込んでいったようです。
しかし、2012年に隣国が習体制になると徐々に「台湾統一」、「祖国完全統一」として、あからさまに武力による統一も辞さないとして、上陸訓練や領空・領海侵犯を繰り返すようになっていて、しかも、台湾との協議をする意志もない、一方的なものです。さらに、隣国の暗部へのインテリジェンス(諜報)にも詳しく、は隣国での少数民族弾圧や法輪功弾圧、内蔵狩り、無理やりに結婚を強いられるといった人権問題、あるいは政権闘争なども話題になっているようです(この意味でも、民主主義指数が日本よりも上になります。日本は偏向報道だということです)。従って、台湾独立という、「台湾ナショナリズム」へと移る傾向もあるようです。しかし、この「独立」は、隣国が勝手に決めた法律「反国家分裂法」に抵触して武力統一を許すことになるために、あくまで現状維持を望んでいるといえます。
台湾は隣国の一方的で武力を辞さないという姿勢には、アメリカの力も借りながら軍備増強をしています。このウクライナ侵攻中でも、アメリカの非公式な代表団(元軍人で参謀本部議長)が3/1に訪問しています。おそらく軍事支援の綿密な連絡調整を行ったのでしょう。武器支援、物資支援、インテリジェンス支援などなどです。また、台湾側は「確固とした自衛の決意をもっていると全世界に告げたい」と告げています。
台湾侵攻は現実味がある危機です。隣国の秋の共産党大会までなのか、それとも2035年までなのか、「統一するか、しないかではなく、いつするのか」という習体制の決断にかかっています。2035年というのは、習体制が児童にも広めた「2035年に台湾に行こう」という歌があるのです。電車に乗って、台湾の観光地へと行く内容の歌で、福建省から台湾への海底トンネル(か橋で)計画もあり、『中台統一』を国民にアピールしています。習体制としては、これをしなければ崩壊となりますので、必ず行うということです。
このウクライナ侵攻があるまでは、アメリカの軍関係者も台湾侵攻の確率は低いと見ていたようですが、ロシアによる侵攻が現実化したことによって、中国の侵攻の可能性が高まったと判断しているようです。ウクライナ侵攻についても可能性は低いとみていたようですが、実際に侵攻があって認識を変えたようです。理屈ではありえないことが起こったからです。経済制裁も交渉も、開戦には役には立たないということです。隣国は、あの北京オリンピックでロシア大統領と何を話したのでしょう。台湾侵攻への各国の対応、反応をみるために、隣国はロシアを実にうまくそそのかしたのでしょうか。あの非難決議での棄権は、あきらかにロシアへの肩入れです。ロシアからの武器支援依頼があったことを、米国誌がリークしましたが、米政府も釘をさしたようです。国際世論からすると、武器援助を表立ってはできないといってはいても、隣国がどうでるかは不透明です。人道的支援という名の下に何かをおくるでしょう。ロシアと国境紛争を起こしてきた経緯や石油・天然ガス輸入では、ロシア崩壊後を見据えても、何らかの支援をしておくのが得策ですからね。
「台湾」というと、東日本大震災でのことが印象的です。義援金の金額も253億円という話はとどいていますが、台湾の仏教系慈善団体の日本支部の方々が、被災した各地におもむき総量数十トンもの炊き出しを続けたことや、被災住民に直接現金を渡していたことです。1世帯当たり5~7万円、一人暮らしでにも2万円、配布場所に来られない人には直接訪問して現金を手渡ししたそうです。さらには被災者1000人を無料で台湾に招いたとか、欧米が放射能で渡航を制限していた際に最初に訪れたのが台湾人だそうです。
これを知ると、「犬去りて、豚来る」の前回の「日本人の猛烈な弾圧」というのが本当に事実なのかと疑ってしまいますが、抗日・反日運動が盛んであり、死亡者も多くいたのは事実です。しかし、古い中国風の城壁に囲まれた小さな町が点在するような台湾に、鉄道や道路網をつくり、城壁を取り壊して、産業をおこしていったのも事実です。強引ながらも豊かな島にしなければならなかったのも事実です。
親日家が多いとも聞きます。日本人としての軍人や役人、民間人が何かを残したのだと思います。欧米の軍人や役人、民間人が残し得なかったものがあると思うのです。
いまでも日本統治下での建造物が保存、修復されているようですし、ダム建造と灌漑用水路づくりに努めた技師の意味深い銅像も残っているそうです。いわゆる建造後に建てられたのですが、国民党統治下の際には密かに隠されていて、80年代に再び設置されたそうです。しかし、親中派の活動家によって首を切断されたのですが、3週間で修復して慰霊祭に間に合わせたといいます。このダムと総延長1万6千キロにも渡る灌漑用水路づくりには10年以上もかかったと言います。この人物はその後フィリピンの灌漑用水路調査のために向かう途中に米軍潜水艦の攻撃で死亡します。さらに台湾にいた妻は、1945年敗戦確定後に、夫のつくったダムの放水口に投身自殺をはかります。その銅像の後ろに夫婦の墓もたてられ、記念館もあり、2021年には記念公園ができ、当時の住宅まで再現されているそうです。そして、このダムを造った日本人は台湾の教科書にも載っているそうです。
台湾の中での政治的立場を考えてみると、同じ中華人としては、今の隣国の政治体制ではない中華人としてのナショナリズム(民族を中心とした国家観=中華民国国民党的考えの1つ)、「台湾人でもあり中華人でもある」があります。また、過酷であった中華民国国民党支配時代から、また、隣国も『改革開放』で資本主義的な路線をとっていた頃は、「台湾人は台湾人」という考えの「台湾アイデンティティー」が増えてきた経緯があります。さらには、上記にも書いたように隣国の文化大革命や天安門事件、香港の経緯からも、台湾アイデンティティーを越えて、独立国を希求する「台湾ナショナリズム」という考えがあります。台湾での最大派は「台湾アイデンティティー」を持った人たちです。従って、台湾での政党は『国民党』と『民進党』があるのですが、党内のこうした派閥をみると、下記のようになるようです。いずれも、独立は考えていなく、現状維持でいけばいいというのが両党の多くの支持者=台湾アイデンティティーをもつ意見となっているようで、武力による侵攻も戦争も望んではいないということです。
いわゆる「改革開放」の鄧・江・胡までの39数年間で、民主主義の国として、アジアではもっとも高位(英国誌エコノミストで2021年での民主主義指数報告)。「世界幸福度報告書2018」でもアジアではトップとなる豊かな国となっています。「国」という言い方をしているのですが、1971年に国連が、中華民国から中華人民共和国を中国の代表としたために、正式な国としては認められなくなった経緯があります。これも、実はそれまで中華民国を認めていたのが、ソ連との冷戦下にアメリカが中心になって、中華人民共和国をソ連との対抗勢力に加えようとして、急接近したことから、中華民国を切り離したという経緯があります(これも大国のエゴ)。しかしながら、非公式ではあっても経済的な交流は保たれるという関係にあって、日本よりも民主的な国という位置づけが海外からの評価となっています。そうしたこともあり、台湾アイデンティティーというものが、広く染み込んでいったようです。
しかし、2012年に隣国が習体制になると徐々に「台湾統一」、「祖国完全統一」として、あからさまに武力による統一も辞さないとして、上陸訓練や領空・領海侵犯を繰り返すようになっていて、しかも、台湾との協議をする意志もない、一方的なものです。さらに、隣国の暗部へのインテリジェンス(諜報)にも詳しく、は隣国での少数民族弾圧や法輪功弾圧、内蔵狩り、無理やりに結婚を強いられるといった人権問題、あるいは政権闘争なども話題になっているようです(この意味でも、民主主義指数が日本よりも上になります。日本は偏向報道だということです)。従って、台湾独立という、「台湾ナショナリズム」へと移る傾向もあるようです。しかし、この「独立」は、隣国が勝手に決めた法律「反国家分裂法」に抵触して武力統一を許すことになるために、あくまで現状維持を望んでいるといえます。
台湾は隣国の一方的で武力を辞さないという姿勢には、アメリカの力も借りながら軍備増強をしています。このウクライナ侵攻中でも、アメリカの非公式な代表団(元軍人で参謀本部議長)が3/1に訪問しています。おそらく軍事支援の綿密な連絡調整を行ったのでしょう。武器支援、物資支援、インテリジェンス支援などなどです。また、台湾側は「確固とした自衛の決意をもっていると全世界に告げたい」と告げています。
台湾侵攻は現実味がある危機です。隣国の秋の共産党大会までなのか、それとも2035年までなのか、「統一するか、しないかではなく、いつするのか」という習体制の決断にかかっています。2035年というのは、習体制が児童にも広めた「2035年に台湾に行こう」という歌があるのです。電車に乗って、台湾の観光地へと行く内容の歌で、福建省から台湾への海底トンネル(か橋で)計画もあり、『中台統一』を国民にアピールしています。習体制としては、これをしなければ崩壊となりますので、必ず行うということです。
このウクライナ侵攻があるまでは、アメリカの軍関係者も台湾侵攻の確率は低いと見ていたようですが、ロシアによる侵攻が現実化したことによって、中国の侵攻の可能性が高まったと判断しているようです。ウクライナ侵攻についても可能性は低いとみていたようですが、実際に侵攻があって認識を変えたようです。理屈ではありえないことが起こったからです。経済制裁も交渉も、開戦には役には立たないということです。隣国は、あの北京オリンピックでロシア大統領と何を話したのでしょう。台湾侵攻への各国の対応、反応をみるために、隣国はロシアを実にうまくそそのかしたのでしょうか。あの非難決議での棄権は、あきらかにロシアへの肩入れです。ロシアからの武器支援依頼があったことを、米国誌がリークしましたが、米政府も釘をさしたようです。国際世論からすると、武器援助を表立ってはできないといってはいても、隣国がどうでるかは不透明です。人道的支援という名の下に何かをおくるでしょう。ロシアと国境紛争を起こしてきた経緯や石油・天然ガス輸入では、ロシア崩壊後を見据えても、何らかの支援をしておくのが得策ですからね。