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 今回は、被写界深度の復習です。 次回はパンフォーカスです。

 物理的には、ピントを合わせた点(焦点)がピッタリなのですが、肉眼で見た場合に「ほとんど焦点が合って見える範囲」を被写界深度と言います。そして、焦点よりも近い位置を近焦点といい、遠いものを遠焦点といいます。この近焦点と遠焦点の間が被写界深度というわけです。

・肉眼で見て焦点が合っている被写界深度は、F値=絞りによって変化し、F値が小さいほど、範囲が狭く、F値が大きい数値ほど範囲が広くなります。

 例えば、レンズの焦点距離を70mmにして、F値8.0で1m先にピントを合わせると、近焦点が約95.6cmで、遠焦点が105cmとなり、被写界深度は約9.1cmです。F22にすると、近焦点88.5cm、遠焦点115cmとなり、被写界深度が26.2cmと長くなるというわけです。

・同じF値にして、レンズの焦点距離を変えると、焦点距離が長いほど、被写界深度が狭くなります。F値の場合とは反対です。

 例えば、F8.0に固定して、レンズ焦点距離140mmで1m先にピントを合わせると、近焦点98.9cm、遠焦点が101cmで、被写界深度は、たったの2.1cmとなり、上記の70mmレンズデータ9.1cmの1/4になります。70mmの3倍の210mmにすると、被写界深度はなんと1cm以下の0.8cmとなります。(理論値です。私の70-200mmでは最短撮影距離は1.2mですので。)

 こうなるとボケを堪能する世界かもしれません。この辺りは、90mmや100mmのマクロレンズの世界の話になるかもしれませんが、このレンズでも焦点を遠くに置いて、十数メートル先、数十メートル先、百メートル先となるとパンフォーカスの話となってきます。