PHOTO MEMO by FES

写真についての個人的メモ

写真についての個人的なメモです!

ウクライナ 12 台湾

 前回、台湾の歴史を概略してみました。

 「台湾」というと、東日本大震災でのことが印象的です。義援金の金額も253億円という話はとどいていますが、台湾の仏教系慈善団体の日本支部の方々が、被災した各地におもむき総量数十トンもの炊き出しを続けたことや、被災住民に直接現金を渡していたことです。1世帯当たり5~7万円、一人暮らしでにも2万円、配布場所に来られない人には直接訪問して現金を手渡ししたそうです。さらには被災者1000人を無料で台湾に招いたとか、欧米が放射能で渡航を制限していた際に最初に訪れたのが台湾人だそうです。

 これを知ると、「犬去りて、豚来る」の前回の「日本人の猛烈な弾圧」というのが本当に事実なのかと疑ってしまいますが、抗日・反日運動が盛んであり、死亡者も多くいたのは事実です。しかし、古い中国風の城壁に囲まれた小さな町が点在するような台湾に、鉄道や道路網をつくり、城壁を取り壊して、産業をおこしていったのも事実です。強引ながらも豊かな島にしなければならなかったのも事実です。

 親日家が多いとも聞きます。日本人としての軍人や役人、民間人が何かを残したのだと思います。欧米の軍人や役人、民間人が残し得なかったものがあると思うのです。

 いまでも日本統治下での建造物が保存、修復されているようですし、ダム建造と灌漑用水路づくりに努めた技師の意味深い銅像も残っているそうです。いわゆる建造後に建てられたのですが、国民党統治下の際には密かに隠されていて、80年代に再び設置されたそうです。しかし、親中派の活動家によって首を切断されたのですが、3週間で修復して慰霊祭に間に合わせたといいます。このダムと総延長1万6千キロにも渡る灌漑用水路づくりには10年以上もかかったと言います。この人物はその後フィリピンの灌漑用水路調査のために向かう途中に米軍潜水艦の攻撃で死亡します。さらに台湾にいた妻は、1945年敗戦確定後に、夫のつくったダムの放水口に投身自殺をはかります。その銅像の後ろに夫婦の墓もたてられ、記念館もあり、2021年には記念公園ができ、当時の住宅まで再現されているそうです。そして、このダムを造った日本人は台湾の教科書にも載っているそうです。


 台湾の中での政治的立場を考えてみると、同じ中華人としては、今の隣国の政治体制ではない中華人としてのナショナリズム(民族を中心とした国家観=中華民国国民党的考えの1つ)、「台湾人でもあり中華人でもある」があります。また、過酷であった中華民国国民党支配時代から、また、隣国も『改革開放』で資本主義的な路線をとっていた頃は、「台湾人は台湾人」という考えの「台湾アイデンティティー」が増えてきた経緯があります。さらには、上記にも書いたように隣国の文化大革命や天安門事件、香港の経緯からも、台湾アイデンティティーを越えて、独立国を希求する「台湾ナショナリズム」という考えがあります。台湾での最大派は「台湾アイデンティティー」を持った人たちです。従って、台湾での政党は『国民党』と『民進党』があるのですが、党内のこうした派閥をみると、下記のようになるようです。いずれも、独立は考えていなく、現状維持でいけばいいというのが両党の多くの支持者=台湾アイデンティティーをもつ意見となっているようで、武力による侵攻も戦争も望んではいないということです。

 いわゆる「改革開放」の鄧・江・胡までの39数年間で、民主主義の国として、アジアではもっとも高位(英国誌エコノミストで2021年での民主主義指数報告)。「世界幸福度報告書2018」でもアジアではトップとなる豊かな国となっています。「国」という言い方をしているのですが、1971年に国連が、中華民国から中華人民共和国を中国の代表としたために、正式な国としては認められなくなった経緯があります。これも、実はそれまで中華民国を認めていたのが、ソ連との冷戦下にアメリカが中心になって、中華人民共和国をソ連との対抗勢力に加えようとして、急接近したことから、中華民国を切り離したという経緯があります(これも大国のエゴ)。しかしながら、非公式ではあっても経済的な交流は保たれるという関係にあって、日本よりも民主的な国という位置づけが海外からの評価となっています。そうしたこともあり、台湾アイデンティティーというものが、広く染み込んでいったようです。

 しかし、2012年に隣国が習体制になると徐々に「台湾統一」、「祖国完全統一」として、あからさまに武力による統一も辞さないとして、上陸訓練や領空・領海侵犯を繰り返すようになっていて、しかも、台湾との協議をする意志もない、一方的なものです。さらに、隣国の暗部へのインテリジェンス(諜報)にも詳しく、は隣国での少数民族弾圧や法輪功弾圧、内蔵狩り、無理やりに結婚を強いられるといった人権問題、あるいは政権闘争なども話題になっているようです(この意味でも、民主主義指数が日本よりも上になります。日本は偏向報道だということです)。従って、台湾独立という、「台湾ナショナリズム」へと移る傾向もあるようです。しかし、この「独立」は、隣国が勝手に決めた法律「反国家分裂法」に抵触して武力統一を許すことになるために、あくまで現状維持を望んでいるといえます。
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 台湾は隣国の一方的で武力を辞さないという姿勢には、アメリカの力も借りながら軍備増強をしています。このウクライナ侵攻中でも、アメリカの非公式な代表団(元軍人で参謀本部議長)が3/1に訪問しています。おそらく軍事支援の綿密な連絡調整を行ったのでしょう。武器支援、物資支援、インテリジェンス支援などなどです。また、台湾側は「確固とした自衛の決意をもっていると全世界に告げたい」と告げています。

 台湾侵攻は現実味がある危機です。隣国の秋の共産党大会までなのか、それとも2035年までなのか、「統一するか、しないかではなく、いつするのか」という習体制の決断にかかっています。2035年というのは、習体制が児童にも広めた「2035年に台湾に行こう」という歌があるのです。電車に乗って、台湾の観光地へと行く内容の歌で、福建省から台湾への海底トンネル(か橋で)計画もあり、『中台統一』を国民にアピールしています。習体制としては、これをしなければ崩壊となりますので、必ず行うということです。

 このウクライナ侵攻があるまでは、アメリカの軍関係者も台湾侵攻の確率は低いと見ていたようですが、ロシアによる侵攻が現実化したことによって、中国の侵攻の可能性が高まったと判断しているようです。ウクライナ侵攻についても可能性は低いとみていたようですが、実際に侵攻があって認識を変えたようです。理屈ではありえないことが起こったからです。経済制裁も交渉も、開戦には役には立たないということです。隣国は、あの北京オリンピックでロシア大統領と何を話したのでしょう。台湾侵攻への各国の対応、反応をみるために、隣国はロシアを実にうまくそそのかしたのでしょうか。あの非難決議での棄権は、あきらかにロシアへの肩入れです。ロシアからの武器支援依頼があったことを、米国誌がリークしましたが、米政府も釘をさしたようです。国際世論からすると、武器援助を表立ってはできないといってはいても、隣国がどうでるかは不透明です。人道的支援という名の下に何かをおくるでしょう。ロシアと国境紛争を起こしてきた経緯や石油・天然ガス輸入では、ロシア崩壊後を見据えても、何らかの支援をしておくのが得策ですからね。

ウクライナ 11 台湾の歴史・共産党の脅威

 ウクライナへの軍事侵攻は、様々なことを教えてくれているようです。

 ウクライナ侵攻を本当に注意深く、「明日は我が身」として見守るのは、人口2340万人の「台湾」です。少し、はしおって歴史をみてみます。


 中国の諸々の王朝にとって台湾は、中華文明の影響を受けずに来ていて、領土意識も希薄な教化の及ばない「化外の地」としていました。それが、例の如く世界を股にかけて航海をしていたポルトガルによって発見された。その後 ポルトガルやスペインによって局地的、一時的に支配を受けていたが、明や清王朝はそれを許していた経緯があります。

 中国が台湾に関心を示しだしたのは、明から清王朝への移行期で、明の軍人が台湾を支配していたオランダを追い出して、清王朝を倒す拠点を台湾に置いたことからです(1661年)。そこで、清王朝は軍隊を送ってこれを倒し、1684年に領土化して編入します。この間は明の軍人が支配しますが、この人は日本人の母をもち、平戸で幼少期を過ごし、父の実家である中国にいって清王朝と戦うことになるという、興味深い人です。さらに彼の弟は、日本で母と共に残り、長崎の商人として成功し、兄の打倒清王朝の手助けをしたとされています。

 その後、編入された台湾は未開であり、福建省あたりの貧農の格好の移住地となり、大量の移民が移り住みます。日本がこの台湾に関わるのは、琉球宮古島の漂流者が台湾で殺されると言う事件に端を発する台湾出兵(1873年)でからです。1884年にフランスも一部を支配するということもあり、清王朝は本格的な統治をはじめることになって、その後の経緯は、日清戦争後に清からの割譲を受けて日本の統治下におかれます。 

 終戦後、日本がポツダム宣言を受けてからは、当時の中華民国(今の中華人民共和国ではない)が領土に組み入れ、中華民国の統治下に置かれます。日本が戦争に負けたとはいえ、正式にはまだ日本の領土で、国際的に確定したのは1951年のサンフランシスコ平和条約ですから、その間は日本であったと考えますが、その空白時期に実効支配を行ったというのが中華民国の実体かと思います。

 「犬が去って豚がきた。」という言葉があったそうです。この意味は、1947年の月刊誌「台湾文化」では、「日本人は本省人(戦前から台湾に居住していた大陸からきた中国人のこと)に対して猛烈な弾圧をしていたため、本省人は日本人を『犬』と呼んでいて、その本省人は最初は外省人(中華民国=国民党人)を尊敬して向かえたが、後になってが外省人の行動を見抜いて、豚のようだと思ってしまった。”豚は『すべてを食べ尽くして仕事をしない』『不潔で不浄な』動物であり、『不潔で不浄』とはすなわち汚職を意味するのだ‥‥」と書かれています。さらに後年の2015年になって、李登輝元総統は著書『新・台湾の主張』発売の際に、この語を「狗會曉顧厝,豬來會曉食、袂曉做代誌(犬は家の見張り方を知っているが、豚は食べるだけで動かない)」と台湾語で解釈している、同席した交流協会の日本人代表は「皆さんこんにちは、いわゆる『犬去りて、豚来る』の『犬』の代表です」とユーモラスで自虐的な挨拶をしている。

<2.28事件>

 中華民国=国民党とその家族である外省人は、日本人がいなくなった後に引き継いだ本省人による自治を廃し、政府機関や国営企業、メディアの要職を占め、本省人を差別して抑圧しました。その1つに「2.28事件」という外省人=中華民国人=国民党人による虐殺事件があります。事の起こりは、本省人の婦人への暴行、そしてそれに同情する人への発砲、死亡者。ということで外省人に対する怒りが爆発し、デモや外省人商店の焼き討ち。さらには、日本語や台湾語で話しかけ、答えられない者を外省人と認めると暴行するなどの反抗手段を行い、「君が代」は国歌として全ての台湾人が歌えたため、それを合い言葉として「君が代」を歌い、歌えない者を排除しつつ行進。また、本省人はラジオ放送局を占拠。軍艦マーチと共に日本語で「台湾人よ立ち上がれ」と呼びかけたと言います。この運動はまたたく間に広がり、国民党長官府も対話の姿勢をとったものの、大陸に残っていた本政府(蒋介石)に武力制圧のための援軍を陳情して制圧されます。日本統治時代に高等教育を受けたエリート層が逮捕、投獄、拷問され、その多くが殺害されたと言います。また、国民党軍の一部は一般人にも無差別的な発砲を行っています。さらに。街頭では検問所を設けて、北京語をうまく話せない本省人を逮捕し、針金を本省人の手に差し込んで縛って束ね、「ちまき」と称してトラックに乗せ、そのまま海に投げ込んだとも言われています。台湾籍の旧日本軍人や学生の一部は、旧日本軍の軍服や装備を身に付けて戦ったと言われています。最後はこれらも制圧された事件です。1992年の台湾の行政院は、その時の犠牲者数を1万8千~2万8千人と推計しています。事件後も戒厳令がしかれ、政治活動や言論の自由が制限され「白色テロ」と呼ばれる人権弾圧が訳40年にも及びました。この間、14万人が投獄され、そのうち3,4000名が処刑されたとされている。

 中華民国=国民党による統治がいかに過酷であったか。それが、1966年の文化大革命と呼ばれる中華本土のすさまじい飢餓と殺戮もあり、国民党内部でも、大陸へ帰るという悲願を捨てるということになる中、本省人である李登輝が巧みな政治手腕をもちいて台湾総統となって、民主化を推し進めてきたという流れとなります。

 こうしてみると、台湾は明・清王朝時代の中国人と、共産党である中華人民共和国に反抗する中国人で構成されたものであることが分かります。

 中台統一は、中国人民の「神聖なる使命、崇高なる目標」だと言って、例の如く、下品な言葉や軍事による威嚇で脅していますし、「ウクライナとは別の次元」であるとして、ロシアによるウクライナ侵攻を無視しています。軍事力による侵攻は、明日にも行われるとして、警戒感が高まっているのです。

 ナチス・ドイツが、ベルリンオリンピック後に侵攻を開始したように、さらに、今年が中国共産党結党100周年でもあり、結党以来、毛沢東を超える存在としての栄光を我が物にし、最高指導者としてこれからも君臨するためにも、台湾侵攻・支配は必然の条件ということになるそうです。

 台湾も圧倒的な軍事力格差をもっていますので、アメリカとの接近が著しいです。しかし、中国が核兵器使用をロシアのように言明すれば、アメリカの対応だってどうなるかは分かりません。もし、アメリカ静観の中で、侵攻が行われれば、民主勢力は根こそぎ投獄、死刑となるでしょう。辛うじて、共産党に情報を流してしっぽを振るような国民党員が残るかもしれません。中国共産党は人権を無視し、反対派や少数民族を虐待、抹殺するのですから、民主主義とは相容れない立場です。思想、信条の自由、結社の自由、言論の自由だってありません。中国にもきちんとした憲法があり、それらも明記はされていても、全て共産党の指示に従うという前提のものです。共産党一党独裁ですので、憲法の上にあるのです。台湾の1部の人たちは、「悪魔の帝国」と呼んでいるそうです。


 台湾問題で問題となるのは、尖閣諸島問題です。1895年に編入したのですが、突然領有権を主張するのは、1971年です。それも、国連の沿岸鉱物資源調査報告で東シナ海に石油埋蔵の可能性ありと指摘された1969年以後です。魂胆は見え見えです。ほぼ毎日、領海、領空に接近し侵犯も行っています。日本政府は厳重抗議だけ。マスコミ、野党は無視。憤慨しているのは自民党の1部だけです。まさしく、資源確保という国家戦略、侵攻計画があるのです。
 中国の野望はまさに露骨ですが、今回のウクライナ侵攻での各国の動きを分析し、台湾侵攻と尖閣諸島侵攻の最終の詰めを行っているだろうと思います。
 今話題になっている「W徹」「テリー〇〇」のように、そんなもの逃げればいい、日本人の生命が大事だからくれてやれ、と言うかもしれないです。
 
 今回のロシアによるウクライナ軍事侵攻は、「経済制裁や外交をしても戦争は止められない」ということです。だから、W徹やテリー◯◯が、逃げて降参せよと言う論理になるのでしょうか。国土、領土はいらない。生きていても逆らわずに従順にし、言葉も捨て、文化も捨ててもいい。あるいは、難民として海外で暮らしてもいい。ということになるのでしょうか。
これって、実に領土問題のある隣国にとって大変力強い言葉です。隣国に勇気と決断を与えるエールです。この発言を流すマスコミも凄いですね。こうなると、民族は異なってもいても同志ですから、優遇を受けるでしょうね。すでに侵攻前からのラブコールで、己が利益最優先という論陣を張る知識人です。お見事です。

ウクライナ 10 

 約3週間、ウクライナ軍事侵攻はまだ続いています。
  

 「ブダペスト覚書」

 ソ連が解体したあと、独立したウクライナには、1200発以上の核弾頭と200発近い大陸間弾道ミサイルがあり、当時では世界第3位の核兵器保有国であったという。それを危険視してまず動いたのがアメリカで、その後、イギリスやロシアも加わって、非拡散条約締結ということになって、ウクライナの非核化が実現しました。1994年のことです。当時ウクライナ内部では危険視する意見もあったらしいですが、「ウクライナの領土保全ないし政治的独立に対して脅威を及ぼす、あるいは武力を行使することの自重義務を再確認する」「経済的圧力をかけることを慎み」、同国への「侵略行為」があった場合には、「同国に支援を提供するため、即座に国連安全保障理事会に行動を求める」ということを約束したため、国民も納得して、ウクライナでは1996年までに全ての核兵器をロシアに返却しました。さらに、フランスと中国も個別に声明をだして、ウクライナへの安全を保証したそうです。中国は「ウクライナへの安全保証の提供に関する声明」では、中国は核不拡散条約が認める核保有国として、無条件に核兵器の使用や核の脅威を与える動きをしないことや、他の核保有国にも同様の保証をウクライナに与えるよう呼びかける内容で、つまり、中国は「ウクライナを核の脅威から守る」という宣言だったのです。

 今回の軍事侵攻については、アメリカのウォールストリートジャーナルは社説で、核兵器放棄の見返りだった安全保障は得られず、ウクライナはブダペスト覚書に裏切られたと報じた(2022年2月25日)。

 「ブダペスト覚書は、独裁者たちが力は正義だと考える世界において、文書化された約束を信頼することの愚かさを改めて示すものだ。さらに有害なのは、核兵器を放棄する際は自国の危険を覚悟する必要があるというメッセージだ。それは北朝鮮に学んだ教訓であり、イランが核兵器開発の凍結を約束したにもかかわらず開発を画策しているのも同様の背延暦だ。アメリカにブダペスト覚書の約束を実施する能力がないことは、アメリカの軍事的保証に依存する同盟国政府にもまた影響を及ぼすとみられる。日本や韓国が自前の核抑止力を持とうとしても驚くにはあたらない。アメリカ人がウクライナ問題に注意を払うべき理由を知りたいと言うならば、それは核の拡散だ。裏切り行為は結果をもたらす。世界はそれを厳しい形で再び学ぶ運命にあるとみられる。」

<だたの紙切れ、核保有の力、存在意義のない組織>

 これらは何を意味しているかでです。1つには、条約も協定書も覚書、宣言はただの紙切れ、口先だけのものである、ということです。ウクライナはそれなりの判断で覚書に署名したのですが、署名した時点では、核管理の技術的経済的余裕もなく、その覚書が経済支援を受け、政府の支持率を高める政治的判断があったとも批判される点もありました。つまり、「非拡散」という理想よりも現実がそうさせたという見方です。それを甘いことばでアメリカやイギリス、ロシアがそそのかしたとも言えるかもしれないのです。2つめは、核保有こそが侵略されない現実的かつ絶対的原則であり、大国でありつづけるという原則、という裏の意味をもっていることです。「侵略されない大国=核保有国」が改めて再認識されるのです。朝鮮半島の某国は、それをはっきりと認識しているともいえそうです。3つめは、国際連合の存在意味を失ったということです。経済、保健、教育と様々な分野で活動をしていますが、本来の役割は「平和と安全の維持」です。2つの世界戦争の反省を踏まえて、国連軍による軍事介入や停戦調停を決めたのですが、拒否権をもつ常任理事国が戦争を起こしてしまっては、その介入を絵空事にしているのです。これまた理想を掲げながらも、現実的には大国の暴挙、侵略、虐殺、殺戮に歯止めをかけることができない仕組みを作りあげた結果といえます。これも大国による陰謀のようなものです。

 さて、今回の最後ですが、大国の非合理的な核の論理は、「悲劇に向かう世界」をも予感させます。その根拠は、宗教にあります。神のご意志です。

 いわゆる、キリスト教などの「最後の審判」というものです。いわば世界に終わりが来て、悪魔との戦いに勝ち、人々が死に絶えた後、これまでに死んだ人間が復活して、天国か地獄へといく神の裁きがあるとしています。神を信じて、悪い行いのない者は永遠の命をもって神と共にくらすことができといいます。地獄では永遠に苦痛をあたえられることになるということです。仏教にも地獄はあるが、期限があり、いつかは輪廻して生まれ変われるのとは異なるらしい。こうした、教えというのは同根であるイスラム教にもあると言われているようです。
 
 ここでなぜ「最後の審判」かというと、戦争や災害など多くの禍もまた、神の意志であり、本当の幸せがくるということを神は約束しているからだと考えている人々がいるかもしれないからです。従って、核戦争は悲劇の引き金でもあり、永遠の命をもって神と共に過ごすという真の救いへの道にもなるのです。世界を破滅させることは、必ずしも悪ではないという非合理な考え方だって、信仰上はできるわけです。それが、真の恐ろしさになります。核兵器のスイッチを押すにも、自らの狂気が神のご意志として許される原点があるわけですから、どうしようもないです。 


 核武装がいいとは思わない。しかし、「核の論理」が確実にある。これが現実的な政治である。最低でも1万発以上もある核兵器では、人類を何度も死滅させることができると言われています。合理的に考えれば、使うことのできない兵器である。しかし、それを恫喝として使うにはまさに効果的なものであることも、今回の軍事侵攻が証明したようなものです。

ウクライナ 9

 「最悪のシナリオ」は、全くあり得ないでしょうか。大国のエゴ、欧米の歴史からは、あり得る確率が高いように思えます。ご親切に国内干渉である日本の「歴史認識の日本の誤り」は、対隣国であるばかりではなく、欧米にもあると思うのです。

<国民の見抜く力、考える力>

  やはり、政治家のウソを見抜き、そこから引きづり降ろすような智恵をもたなければ、誤った政治家のいる国民は不幸になるのです。日常から日本でもマスコミを筆頭に情報戦をしかけているのでしょう。もちろん敵対する仮想敵国にしても、日本人の政治家や官僚、企業、言論の自由を盾にするマスコミなどをも抱き込んで、情報戦をしかけ続けているのです。ひょっとして、あのコメンテーターや芸能人も彼らの使い走りなのもしれません。

 日本〇〇士協会の抗議表明もよく読めば、国連憲章をまずだし、次に例の採択決議の多さを言い、国際人道法、最後には基本的人権、社会正義をかざしている教条的なもののようである。いかにも国の難関試験を取った〇〇の専門家という自負が感じられるもの。中にはさすがリベラル派を自負するのか、日本の核武装化の一部の意見をも封殺すようなものまである抗議です。〇〇士協会の名称がなければ、どこかの政党のようです。しかも、全17行声明中、重要かつ「ウクライナ国民の生命・安全・自由」に対しては「深く憂慮する」で終わっていますし、この文面の段落のある行はたったの3行です。ウクライナ市民に寄り添っているのは形式的にもみえます。これまた不思議。経団連会長が、犠牲者を悼む言葉からはじめたのは極めて常識的でもあり、温情的な組み立てかたです。JA発行新聞のものは、人命の尊さを過去の戦争と原爆という歴史から語り、侵攻反対、即時停戦を訴えています。よっぽど心に響きます。(これはいずれ、紹介します)

 前にも、プーチンの交渉ぶりはきわめて冷静であるといったのも、あの顔から発せられる言葉は情報戦の一部であり、ウソも誇張も含めて巧みであるととのこと。実は隣国も使う、悪の論理のしたたかさです。それは、対アメリカの約束の反故・罠、EUやNATOの反逆があったのが原因かもしれないということです。勿論、それでロシアの侵攻が正当化される訳ではないのですが、国民を抜きにした政治がまかり通ってきているわけです。

 さて、世界中の情報戦でみらる構図は、いたって簡単で「ウクライナ=善」「ロシア=悪」という二極化で、明解です。この情報戦ということで、Webで顔をだして説明しているある方々は、こうした当事者としての言い分はもちろん、世界でもそうした分かり易さで国際世論を二極化させるのも問題がある。そうした勢力があって、それがマスコミを動かして拍車をかけさせているとの指摘があります。そこで何が悲劇かというと、敗れて被害を被った国民・市民が、敗戦後もかなりの期間にわたって世界中の差別にあうということだと言います。これがまた、次の争いを生むのではないかと言うことです。

 ここからは私見です。戦争の当事者は政治家、政府関係者、追加して、それを支える頭脳的、思想的立場の人たちです。軍隊はそれに従っているだけです。戦争に勝つことを喜ぶ国民ではなく、平和の到来の兆しと未来に喜ぶ国民を育てなければなりません。他の国においてもです。

 そうであるためには、やはり歴史の教訓というものを多くの国の国民が支持し、共通認識できる機関を通して、創り上げていくことが必要だと思うのです。世界の義務教育の教科書も分析し、その国の欠陥をも暴きながら、いわゆる決めつけの主義主張の思想を排除してでもです。世界の戦争の史実から、平和を差し示す歴史を共同で作りあげ、世界宣言とするのです。「未来への歴史認識規定」とでも名称すればいいでしょうか。その力が今の国連にあるかどうかは、期待薄です。さらに、世界といっても共産主義は、歴史観を変えないでしょうし、妨害してくるでしょうか。まさしく至難な、ひょっとして夢のようなことかもしれません。国際的なNPOでしか‥‥とも思いますが。

 しかし、各国の国民の共通の願いである、戦争をなくし、平和でありつづける方法、仮説、原則はあるはずです。戦争は、各国政府の歴史認識の違いをあたかも善として、それを教育という国策によって、さらにメディアによって、悪の種が再生産されているのではないかと思うのです。破壊された文明や文化もあります。あの国はよくないという教育や、自分の国は過去にとんでもない悪いことをしたとして自国を卑下するような卑屈な国…ではなく、悪いこともしたし、あったが、それを受け止め、他国を過去においての罪を非難し攻撃することなく、誇りある国、未来ある平和の世界に向けて歴史観のある教育でしかなしえないと思います。たしかにたやすいことではありません。教育が行き渡るには数十年かかるかもしれませんが、値のある目標だと思うのです。環境問題もまた、ひょっとしてジェンダー
問題も、それらを覆い隠す手段として、利用されているのかもしれません。

 始めから国際的ではなくても、多くの国の国内で、平和への道しるべをしめす歴史敵教訓をつくり出し、世論へと高める大きな運動へと高めることが重要かと思います。そうして、国際的な組織をつくって、義務教育における教育を実施させていく、未来の平和に向けての情報戦に進んでいくのが1つの方法かとも思います。ただ、平和を叫ぶ、戦争に反対するというデモではなく、政府に情報戦を挑んでいくのです。

 夢みたいな話ですが‥‥。日本の歴史学者、国際政治学者、教育者、専門家、評論家などが、過去の戦争を分析して、それを防止する仮説を見いだすことは可能だと思うのです。

ウクライナ 8

 さて、ウクライナ侵攻をめぐる様々な情報を自分なりに記してきました。マスコミ批判もあり、例え見た目には自由や民主主義を標榜しながらも、大国のエゴや強引さ、アメリカもまたそれを行っていたのが戦後の姿でした。今度はロシアを落としめてはめていったということも、あくまでも個人的は疑問も残るものですが、そう考えれば、全体のつじつまがあうように思わざるを得ないというのが今の気持ちです。ロシアと欧州(EU)との軋轢もあるのですが‥。


< 日本の最悪のシナリオ >

 こうしてみると、アメリカは「本当に台湾を守るのか」、さらには「日本を守るのか」という問題になります。

 日本がウクライナになり、ロシアが隣国になりうることが懸念されてくるのです。つまり、アメリカは、第三次世界大戦、核戦争の可能性を避けるという大義名分のある理由から、軍事同盟を突然破棄するのです。欧州もそれに賛成するのです。これは欧米の戦争の歴史からは、当然の公理というのが真実です。
 隣国は、あえて日本にある米軍基地を避けて攻撃するのです。これがアメリカへの配慮=シグナルです。

 こうしたことを真剣に考えている専門家はどこにいるのでしょうか。いるとすれば、自民党の一部?、自衛官の一部? だけでしょう。日本人の隣国への必死の抵抗でしか、欧米の市民、国民には伝わらないでしょう。欧米各国の国民が、第三次世界大戦を覚悟しなければ、各国政府は動かないと思います。今回のウクライナのような悲惨な日本人の姿を見せなければ、同情と支援はえられないでしょう。

 最悪のシナリオを考えてみます。
 ウクライナの状況を隣国が判断したならば、一気に、それこそ大量破壊兵器を潜水艦で発射するでしょう。それこそロシアの言った24時間以内、あるいは48時間以内に全ての重要な軍事、政治、産業システムを破壊するという方法をとるでしょう。しかも、コンピュターの動作を破壊する電磁パルス兵器もあり、自衛隊の対空防衛システムが破壊されます。レーダーもだめ、対空ミサイルもダメ、戦闘機もダメです。電気、金融を始めとするオンラインもダメになり、市民は携帯の使用もできなく、悲惨な状況をSNSで発信もできない闇の中となります。

 <最悪‥> ある真夜、突然の停電が起こり、なぜか携帯も使えなくなって、爆発音がし、翌朝には生き残った自衛官を乗せた車両が走り回るという事態になります。日本の最新兵器は全て使用不可能ですから、隣国との地上戦です。隣国は第1陣の落下傘部隊で自衛官を排除、やがて、海上からの海兵隊での制圧です。政府要人が生き残れば、会談? 交渉ができますが、いなければどうなるのでしょうか。臨時政府を残った政治家でつくり交渉するのでしょうか。交渉の中でも、戦いが進みます。


 これを知った欧米は、隣国首脳とどんなやりとりをするのでしょうか。島国の日本には、武器の支援はできません。物資の支援もできません。何もできず、ただ見守っているだけです。攻撃を受けなかった、アメリカ艦隊も見ているだけです。隣国と日本政府の会談(交渉)での、隣国の要求は今回のロシアと同じです。「武装解除」「中立」「尖閣諸島の領有化承認」(もしかして、琉球王朝時代に中国へ朝貢していたことから、沖縄の領有化承認も求められるかも)ということになります。GHQとは異なり、天皇を人質にとるでしょう。全ての皇族もそうなるでしょう(隣国がチベットにしたことは、宗教的中心人物を追放し、中国人の血の混じった者をそこに据えました)。そして、アメリカの後ろ盾もない結論は、無条件降伏と同じです。

 援助も船で届くころには、完全に占領下です。隣国の許可を取らなければ、入港さえできません。物資が入ったとしても迅速に日本人に配られるでしょうか。先ずは隣国兵でしょう。そうして、国内での日本人による略奪の可能性はあるのでしょうか。隣国の留学生、研修生、商社マン、在日の隣国人は、どんな行動をするのでしょう。


 親「隣国」派は、どう考えているのでしょうか。日本で内戦を起こして、隣国の傀儡政権でもつくるのでしょうか。リベラル派や共産党はどうなのでしょうか。共産党は堂々と隣国批判もしますが、昔は秘密の同志関係でした。口先だけの批判も、実は…ということで傀儡政権のトップ層につこうとしているかもしれません。自民党の親「隣国」派と共産党らの内部闘争が起こりそうですし、それを口実に本格的日本支配を隣国は狙っていそうです。隣国の反日思想は、民衆にも浸透していますので、男性は強制労働・臓器提供者、子は親と隔離されて隣国化教育、女性は中国人との結婚を強制され、日系中国人の生産・育児マシンとして生きて行くことになるかもしれません。そして、そこでも、こびへつらって、うまくすり抜ける日本人=売国奴がでてきて、裕福な奴隷として生きる者も現れるのでしょう。そして、ある日スパイ容疑で逮捕され、行方不明。日本の元国土はあっても、こうして日本人が地球上から抹殺、滅亡させられるのです。これが最悪のシナリオです。

 少しましな方は、日本に傀儡政府を作って、退去するものです。勿論、政府要人は共産党が第一候補です。親「隣国」派は共産党員の監視下にはいれば、その下僕となり、日本国民を治める立場になります。一応は独立国家の体裁はつくられます。隣国系の企業の優遇、日本から虐待をうけた中国人の優遇政策がとられます。平和時には反対していた治安維持法、スパイ防止法が成立して、国民監視が始まります。そして、毛沢東が在中ソ連共産党員にしたように、日本共産党員を粛正し、共産党に入っていた中国人が政府要人になっていくのです。こうなっていく過程で、欧米は日本の共産化防止のために、どう暗躍するのでしょうか。なにしろ、世界的には、第三次世界大戦と核戦争を防止することができ、欧米のゲルマン民族、ラテン民族、スラブ民族が助かるのですから、1億あまりの日本のために戦う訳がありません。結局「アジアのことはアジアで」と主張するだけでしょう。新政府日本は、共産党やリベラル派の言うように、安保破棄、自衛隊解体、大企業への重税、共産党系中小企業優遇など、様々な平和改革路線をとるでしょう。そうして、政府の財政が豊かになったところで、次のシナリオは、隣国へ帰属宣言と、帰属化です。隣国の共和国の一部となり飲み込まれ、そして、隣国の一つの省となり、太古の「倭省」という蔑称で呼ばれることになるかもしれません。その頃に日系がほとんどいなければもう少しいい省名がつくかもしれません。天皇、皇族は全て消滅。元日本の文化も観光目的だけのために残り、隣国語での会話が行き交う世となります。
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